朱(あけ)を奪うMURASAKI。
古代中国では寒暖色を混ぜて作られる紫色が珍重され、
それまで位を表してきた朱色に変わり、より高位の色として使われてきました。
このルーツはローマ帝国の礼服にあるとされ、
紫色が時代や地域性をはらみながら特別な意味をもち、日本でも定着しました。
村上周の新たな活動「MURASAKI」は、
自ら見て感じたあらゆる文脈を編纂(へんさん)し、新たな色彩を作り出します。
中国やチベットなどの大陸的な意匠を再考したり、
古い和家具とスチールを組み合わせてモダンに仕上げられた作品たち。
これらの新たな試みからにじみ出る色が「MURASAKI」なのです。
新しい文化や思想は渡来と帰化を繰り返し、雨水が土にしみ込みその土地に吸収されていくように、
諸国を辿ってきた「紫」が、新しい価値を生み出し意思のある「MURASAKI」となることを表現してゆきます。